アモルファス(非晶質)&乱雑系(高エントロピー)合金

非晶質や高エントロピー合金に内在する局所構造とナノ結晶化や特異物性

急冷シリコンの組織の微細化


乱雑系合金の作製手法例:【単ロール液体急冷法】

原理的に、どのような物質であっても液体状態から一気に冷却して、結晶の核が形成される前に固化すれば、液体状態が凍結されたような乱雑な原子配位で固体となったアモルファス(非晶質)状態が得られるはずである。
そこで開発された方法の一つが液体急冷法で、加熱して液体状態とした材料を冷やした物質にぶつけることで急速冷却固化させる方法で、なかでも代表的なものが本研究でも用いる単ロール液体急冷法である。その方法に用いる急冷ロール装置の写真が下図である。
具体的には、るつぼに入れた合金を加熱し融解させたものを、高速回転する円盤状の銅ロールに吹き付けることで急冷固化させ、リボン状薄片の物質を得る。
この急冷ロール装置では約1秒に100万℃の冷却速度が得られると言われている。

アモルファス合金において作製時(冷却時)の体積の温度変化は基本的に“ガラス”と同様に図1のAとなる。すなわち、融点よりもある程度低温まで液体状態が保たれる(過冷却液体状態)が、さらなる温度低下で粘性が急速に高くなり固化する(ガラス転移)。




   Fig.1物質の体積の温度変化の様子


   Fig.2単ロール液体急冷装置                                                 Fig.3単ロール装置炉内